どんなに高く飛ぶ鳥よりも想像力の羽根は高く飛ぶ

自分の"楽しみ"を書いて、自分だけが救われるんなら、それは言葉ではないんじゃないの。言葉は人のものでもあるんだから。

風に吹かれて

 音楽については、音楽をもってしか”正しく”語り得ない
 本については、本をもって
 言葉については、言葉をもって
 愛については、愛をもって
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 人は、人を愛することも、憎むことも、安易である
 安易だ、という意味は、コントロールできないということ
 そうしてしまうべき何かのエピソードがありさえすれば、あとは自動なのである
 好きになることも、そうしないことも、”簡単”だ、と
 そこには意図が入り込む余地などない
 人はそういう自分の自動さに、時に惑わされる
 自分自身の振る舞いにも、他人の自動さにも
 ***
 好きだった人を、まったく逆に思ってしまうことについて
 ぼくの中にいくばくかの悲しさが生まれる
 なにかのボタンを掛け違っていたら
 まったくべつの結末を迎えていたかもしれない人
 いかなる振る舞いにも、自分自身は現れている
 その人の振る舞いは、きっと偽りなくその人なのだ
 そう思う
***
 風については、風をもってしか”正しく”語り得ない
 風吹けば、桶屋が。
 風吹けば、恋。
 きょうも、風が吹いている
(了)