誘導用ブロックみたいな人
誘導用ブロックみたいに。
それを必要としている人にはとても役に立って、
それを必要としていない人には、その存在さえ知られることもない。
それを必要としている人にはそれがなくてはならなくて、
それを必要としていない人にはそんなに邪魔にはならない。
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必要な人には役に立って、それによって存在していたい。
それを必要とはしていない人の目にも触れず、ただ、存在していたい。
あの駅に点字ブロックなんてあったっけ、なんて、そんな程度で。
でも、そこにそれがあることを、知っている人は知っている。
それがなければ困ってしまう人があって。
それを頼りにしている人があって。
そのこと一点によって、それはそこに在って。
凹凸5ミリのそれは、底の薄い靴を履いてこそわかる。
厚顔無恥にはわからぬ。
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目立つ黄色を頼りにしている人がいる。
その人たちの、埋もれてしまう視界の中で、その板は輝いている。
それなくして命を落とす人もあるのかもしれない。
あるいは、命を落とすリスクを感じる人があるのかもしれない。
目の見えない人、目の不自由な人には私たちには”見えない”世界があるのだ。
点字ブロックはその世界を見せてくれている。
私のような、目の見える目の”不自由”な人たちに。
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誘導用ブロックみたいな人が、自分の理想なのかもしれない、なんて思った。