どんなに高く飛ぶ鳥よりも想像力の羽根は高く飛ぶ

自分の"楽しみ"を書いて、自分だけが救われるんなら、それは言葉ではないんじゃないの。言葉は人のものでもあるんだから。

モテと権力

 モテることによって、優越感を得るという人がいる。たぶん、ボクもそうかもしれないし、多くの人がそうなんだろう。モテるという肯定感に勝る心地よさって、そうはないから。
 モテることは、権力なんである。それによってモテない人に対してマウント取るってことが、往々にしてある。特に思春期には。共学の中学・高校だと特に。女子校に通ってた知り合いに聞くと、少しは共学よりマシらしいけど。
 権力を持ちたいがために、モテたい、という人もたぶんいるんだと思う。たぶん、厄介な人。でも、いつの間にかそういう風潮が当たり前になっている。モテることが権力を持つ人生の時期には特にそれは顕著だと思う。モテることがカースト上位になることの条件だったりするから。
 でも、世の中にはこういう人がいることを、ボクは知っている。モテようとしなくてもモテてしまう人。そういう人は、権力を持ちたくてモテたい人々に恨まれてしまう。嫉妬の対象になる。
 人の魅力には多様性がある。当たり前のことだけど。男と女で大人になるタイミングが違うことも大いに関係していると思うけど。でも、そういう魅力が偏っている場や状況だと、なんであいつがモテるんだよ、許せん! となってしまう。その人自身にはとても魅力があるのに、それがその場で認められていないと、歪んだ思いが交錯してしまう。
 魅力は魅力に感じている人にしか見えないんである。九十九の欠点も一つの魅力で帳消しになることもある。逆に九十九の魅力も一つの欠点で台無しになる。それは、魅力を放っている人とそれを受け取る人の関係から成り立つんであって、外野がとやかくいうことではないと、ボクは思う。
 魅力的なら近づきたいと思うし、そうではなくなったら、離れるってだけ。人生はシンプルだ。
 あの人に権力を渡したいからあの人を好きになるとか、優越感を与えたいから愛すとか、そういうことは自由恋愛にはあんまりなさそうである。そう思いたいだけかもしれないけれど。
 世の中にはモテるためにはなんだってする人もいるし、モテていることにしたい人もいる。そのくらいにその優越感はえげつない。
 モテることはいつも受け身であって、自分から人を愛させることは本来的にはできない。愛されるチャンスを増やすことしかできない。どんなに自分を着飾っても、どんなに自分をよく見せても、人が近寄ってくることはあっても、本質的に愛されることとは関係ないんじゃないかと、思ったりする。目的が優越感を得るためだったり、自分のいる場で権力を持ちたいためだから。あるいはそのごまかしでしかないから。そういう人は多い。自分の思いが外に向いている限り人に愛されることもないし、人を愛すこともない。本当の、愛を、その人は一生知ることもない。
 そうやっても、恋愛は成立するし、そうやって結婚する人もいる。当たり前にいる。そういう幸せのかたちが世の中に流布されている。そうやって一様に恋愛する人が多い方が儲かるからである。一様な価値観で一様な魅力に美意識がある方が生産性もあって人をコントロールしやすく、効率がいい。恋愛という欲情を用いて商売したい人にとっては。それで、世の中の商品という商品、広告という広告は、そうやってできている。
 でも、人の魅力が一様ではないのは当たり前のことだと思う。人が魅力的なのは当たり前のこと。どこにだって魅力的な人はいる。魅力のない人なんていない。タレントに美意識が集中している現代はどこか歪んでいるとボクは思ってしまう。もっと、人の魅力の多様性を、みんな知ったらいいのに、と思う。男と女で大人になるタイミングが違う、と言ったのはそのため。そのことに気がつくタイミングが、たぶん、違う。だから思春期にいろんな違いにうんざりする必要もない。それだから思春期と言うのかもしれないけど。
 一生気が付かずに、モテることに捉われ続けたままの人もいる。
 ボクがこの文章を書いたのは、モテたいわけでもなくてモテてしまう人が、モテたいけど権力を握れない人に何かを犯されるのを救いたいからだ。そんな人、気にしなくていいです。その場ではわかってもらえない魅力を、いつか、自分の、その掛け替えのない魅力に気がついて、幸せになってほしい。ちょっと大袈裟だけど。
 モテない人は、モテないことを気にしなくていいです。いつかその人にしかわからない魅力に気がついてくれる人が必ずいるから。魅力のない人なんていないです。それをわかってくれる・気がついてくれる人が周りにいないというだけだから。魅力は殊更に誇示するものではなくて、自然に感じるものだと思うから。本人が気がついている必要もないし、わかりやすく示す必要は必ずしもないし、ここがイイ! なんて、メディアの真似を、みんながする必要ないんです。何度も言うけど、魅力には多様性がある。いつか、それがわかる日が来る。
 それでもわいは優越感を得たいんじゃ! と言う人のことは知らん。
 すべての人が自分を捨てずに、良い縁の巡ってくるまで生きることを願っています。本当に。人生は、それだけなんだ。