どんなに高く飛ぶ鳥よりも想像力の羽根は高く飛ぶ

自分の"楽しみ"を書いて、自分だけが救われるんなら、それは言葉ではないんじゃないの。言葉は人のものでもあるんだから。

愛されているの、に

 愛されていることを知っている
 そういう人がときどきわたしの前に現れては通り過ぎていく
 ときどき留まる人もある
 わたしを産んだ人は、寄り添ってくれる
 わたしは時にそれを拒み、時に受け入れてきた
 
 愛されていることを知っている
 なぜ、その人がわたしを愛するのかはわからない
 でも、なんでかそうするのだ
 そうすることが約束されていたみたいに
 出逢ったなら、そうしてしまうのかもしれない
 そういうものかもしれない
 
 わたしは時に、その愛に気がつかない
 わたしを産んだ人の愛にもずっと気がつかなかった
 それは愛が当たり前にあったからだろう
 それこそ、わたしが生まれた時からそれが当然にあったからだろう
 それさえも、尊いことだった
 わたしが愛に気がつかないことについて、わたしは弁明の余地がない
 気がついていないものに、悔いることも適わない
 失って初めて、というが、失ってもいない
 得てもいない
 愛はある
 だけれど、愛をする人は多い
 よくわからない
 なぜ人が人を愛するのか、よくわからない
 わたしはわたしの魅力に気がついていない
 多くの人がそうであるように
 わたしは自分を好かれてはいけない人間であると思っている
 思ってしまっている
 そういう人は少ないかもしれない
 自信がないのではなく、自分のことを無能としていた
 そうしなくては、生きることができなかったからだ
 それは、わたしの所為である
 だれのせいでもない
 わたしの、持って生まれた何かによって、そういう人間となってしまった
 
 わたしは、愛されていた
 だけれど、その愛を、ほとんど受け取ることができなかった
 そこに、愛はあったのか、というと、たぶんそんなことはなくて
 ただ、愛されていただけだった
 わたしは、愛を受け取ることができない意固地な人間なのか
 それとも、愛がわからない人間なのか
 それさえもよくわからない
 
 愛というものがわからない
 人間というものがわからない
 なぜ愛するのか、愛してしまうのか
 なぜそこに愛はないのか、わからない
 愛は人間の間にあるのではないか
 愛はするものではなく、あるものではないか
 二人の間にそれを認知した時にはじめて、愛することは叶うはずなのに
 ただ、一方的に愛を持つことを、愛すると呼ぶことについて
 それが的を得ないことの
 その拙さの
 その先に、わたしは生きている
 わたしは、生きている
 わたしは愛されている
 わたしは愛されて生きているのに